ココロ

東京は午後からまた雪が降るそうな。。
一年の締めくくりの今日、天からの白い使者が沢山舞い降りて、
今年一年のすべての禍を白く染めて浄化していくのだろう。



"錆び付き堅く閉ざした扉の鍵を持つ天使に今年必ず出会うよ"
桜の季節・・「原宿の母」は、そう告げた。


短い梅雨の後の突き刺さるような光の季節は、
江ノ島に落ちる夕陽の中に熔けていった。
夜風は優しく顔を撫でていったけれど、
鍵は見つからなかった。。
光の季節が暦を越えて続いてゆく。。
混沌とした翻弄の中で彷徨う心は、
日常の甘い香りで開く事はない。
信頼の香りを嗅ぎ取れず、
ただ時間だけが流れていく・・。


遅れてきた秋の風に冬の香りを予感させる季節、
彷徨う視線の先に、迷える天使が舞い降りるのを見た。
迷走する日常・・
毒々しい甘い香りだけが鼻をつく日常に
覚えの無い香りに触れた。

・・・淡い光。

背中に生えた羽は薄くまだ小さい。
頭上の輪に複雑に入り混じった迷いを抱えて蹲っていた天使。
でも、その目には沢山の"愛と勇気"が満ち溢れていた。


・・そしてその掌はとても暖かい。
それは温度ではなく、気持ち。

天使は救いの神ではなく、守っていくもの。
深く係わっていく中で癒される瞬間はあっても、
それに甘えてはいけない。
この天使の成長に自分のすべてをかけてもいいと思った瞬間、
錆びついていた扉が開く音を聴いた。



今すぐとか、今日明日ではなく長いスパンで成長して行こうとするのが若さならば、限られたタームの中で更なる創造の道を歩いていく事が、今のおいらに与えられた位置。時間に追われる仕事・・良いじゃないですか。限られた条件の中で評価されてこそ、金をとる仕事です。でもね、おいらやおいらの仲間はこれから降りていく人間でもある。降りながら成長していく事は、とても難しい事ではあるけれど、先人達が皆通っていった道。


大切なのは継承していく者を見つけること。
それは技術ではなく、ココロ。。


ココロを継承させていく中に、降りながら成長しようとする
おいらのベクトルは必ずある。来年からはそういう年にしていきたいと思う。

いきなり難しい事を考えず、おいらの背中見てついて来ればいい。
その中にきっと明日へのヒントはある。
振り返り、歩いてきた道のりを追想できるようになるその日まで。。